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12/13
8:00AMのフライトでニューヨークからセントトーマスへ。
今、世界中に数あるクルーズ会社の中でも最高の評価を得ているシードリーム・ヨットクラブ社。
この時期は2隻とも南カリブ海へ配船される。春夏は地中海、秋冬はカリブ海、これがプライベートヨットの王道の過ごし方、それに倣っているのだ。
気温2度のニューヨークから3時間半のフライトで、気温25度、南カリブ海の島、セントトーマス島へ到着、ここからシードリーム・ヨットクラブの南カリブ海クルーズはスタートする。
機内に入ると、前方のビジネスクラスの搭乗客の数人がシードリーム・ヨットクラブのチケットを手にしていた。「これはどういうこと?」少しCAに聴いてみると、ビジネスクラス16席はすべてシードリーム・ヨットクラブの船客とのこと。
セーターの上にコートを着ている自身が滑稽である。しかしこれこそが避寒地カリブ海へのエスケープなのだ。
午後2時、セントトーマスのクラウンベイから乗船。
顔見知りのクルーが何人か出迎えてくれる。日本人が珍しいからか、こっちが憶えていなくても、向こうが憶えていることもある。乗船するとキャプテンが一人一人を握手で出迎えてくれる。冷えたおしぼりとシャンペンを受け取り、サロンの椅子に腰掛ける。ほどなくスパの女性が首から頭にかけてウェルカムマッサージをほどこしてくれる。彼女たちはタイの女性なのでタイマッサージのように、けっこうしっかりとツボを押さえてくれ、日本からの長旅の疲れを癒してくれる。
午後6時、出港の時間だが船は一向に動く気配はない。
明日の寄港地セントジョンは、セントトーマスから目と鼻の先。結果朝方まで停泊していることとなる。 |
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午後8時、メインダイニングへ。
今日は、ブロッコリーのクリームスープ、サラダ、ブラックベリーのシャーベット、フィレステーキ、スフレをいただく。今宵の赤はイタリアのキャンティが振る舞われた。ソムリエはオーストリア人でタイの女性を結婚しタイに在住、今カリブ海の洋上で働く。地球規模で人生を謳歌している。
食事を終えて部屋に戻ると、ファーストネームが刺繍されたパジャマのプレゼントがきれいにターンダウンされたベッドに置かれていた。
さぁ、明日からどんな美しい海に出会えるだろうか。
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12/14 セントジョン
通り雨がデッキを濡らしていた。シードリームⅡは早朝セントトーマスを出港し、1時間ほどで隣の島セントジョンへ到着した。
8:00 アウトドアのトップサイドレストランで少し湿り気を含んだ風にそよがれながら、朝食をいただく。
セントジョンの美しい入り江、クルーズベイが見える。14年前に来たことがある。朝食は人参と生姜をミキサーですりおろしたジュース、「お味はいかがですか?」とウェイターに尋ねられ、「最悪だ。」と答えると腹を抱えて笑っていた。
そしてワイルドマッシュルームの香りが食欲をそそるオムレツ、果物はマンゴ、ビワ、ブラックベリーをいただく。 |
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18:30 毎夕、サロンに船客が集う。ここで、久しぶりにシードリーム・ヨットクラブ社CEOのボブ・レピスト氏と再会、彼はファミリーと休暇で乗船している。思えば2年前、東京で会って、二人で築地のすし屋へ行った。そのときのことを彼はすごく憶えていた。シードリーム・ヨットクラブのセールスにおいて、アジアの中では日本が最も動きがあることを彼もすごく喜んでくれている。築地で酒を酌み交わしたとき、「船会社の社長ってどんな感じ?」と尋ねたことがある。彼は一言、「Hard
Work」と答えたのを憶えている。本当はつらかったり、しんどかったりしても、クールに振る舞える男にこそ、器の大きさを感じる。 |
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12/15 サンディグラウンド(アンギラ 英領)
7:00 デッキに出てみる。雨だ。カリブ海の強い日差しは鳴りを潜め、雨がもたらす涼しさが少し心地いい。よく手入れされたデッキの手すりに雨粒がたまってゆく。ボブと友人が声をかけてくれる。今日はゴルフ三昧らしい。マイアミ在住で南カリブ海の島でゴルフなんてゴージャスじゃないか。
10:00 テンダーボートで上陸。近くのビーチで1時間近く泳ぐ。エメラルドグリーンの海、真っ白な砂浜、何もない。それでいい。
15:00 シードリームⅡはアンカーを引き上げ出港、わずか3時間でセントバーツ島のガスタビアに到着。ヨット系はそんなに距離は走らない。優雅なバカンスを求めて、南カリブ海の美しい島々を渡り歩く感じだ。プライベートヨットオーナーもたぶんそんな感じなのだろう。このあたりで気ままにアイランドホッピングしたら幸せだろうなぁ。
19:00 恒例の夕方の集会に顔を出す。プールサイドが盛り上がっていた。いつもギャングウェイにいるセキュリティの男、すでに何度かこの船で会っている彼が話しかけてくる。8か月働き続けるので体調管理にとても気を使うらしい。白い制服の腕っぷしにタトゥが見え、ちょっとヤンチャな男のようだが、来春の結婚のことを笑顔で話してくれた。
19:30 今日のディナーはトップサイドレストランで夜風に吹かれながらいただく。目の前にはラグジュアリー船「シルバーウィスパー」が停泊。4300トンの船に乗っていると、29000トンの船ですら、BIG
SHIP に見えてくる。ボブと友人が笑顔でやってくる。社長、今日のゴルフは調子が良かったらしい。
今宵のディナーも素晴らしかった。サーモンタルタル、ロブスタービスク、ドーバーソール。今回はシードリーム・ヨットクラブ社の取締役にも名を連ね、コーポレートシェフとして社全体の食をも監修しているスデシュ氏が乗船。彼の料理は一癖ある。そこに私はハマっている。例えばロブスタービスケ、少し香りづけが強すぎるかもしれない。シェリー酒の量が少し多いのだ。言わば大人のロブスタービスク。それにしてもまぁ連日美食三昧でぶっ倒れそうだ。「こんな毎日贅沢三昧していたら、将来ろくなことがないぞ。」と誰かに囁かれてる気がする。
22:00 ピアノバーの椅子に腰掛ける。居合わせてご夫婦はシカゴから。ご主人は父親の仕事の関係で香港で生まれ育った。スイス系の銀行に勤め、壮絶なサバイバル競争にある程度生き残ったが、何と48歳でリタイヤを決め、今は悠々自適な生活を送っている。シードリームは馴染みのクルーがいて、気持ちも安らぐので、いつも乗船しているという。しかし48歳とは少し早すぎないだろうか。
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12/16 セントバーツ ガスタビア
昨晩からセントバーツの沖合に停泊しているシードリームⅡ.
まわりをシーボーン、シルバーシーといったラグジュアリー船に取り囲まれていた。そんな中ひときわ目立つプライベートヨット。イクリプス。世界最大級のプライベートヨット。オーナーはロシア人で、英国のサッカーチームも所有する大物、なんとこのセントバーツ島の約半分も彼が所有するのだという。
こういう環境にひとときでも身を置いておおいに刺激を受けるのもいいじゃないか。
「世の中、すげぇ奴がいるんだなぁ。」と感化される、それもいいことだと思う。
10:00 テンダーボートで上陸。ここはフランス領、通貨はユーロ。かわいい街並み、センスのいい店が並ぶ。メガヨットが何艇も停泊している。ちょっとただものじゃない島であることが感じられる。小さなカリブ海の島なのに、みんなフランス語を話しているのがちょっと不思議。
14:00 シュノーケリングのツアーに参加する。港からカタマラン船に乗り、沖合へ。簡単なレクチャーを受ける。器具を装着して海へドボン。実はシュノーケリングは初めて。簡単だろうと思ってたらいきなりパニックに。そう、鼻で息をしてはいけなくて、口だけで呼吸をするのだ。それでも鼻から海水が入ってきて痛い。なかなか難しいが、徐々に慣れてきて海底を眺める余裕が出てきた。くりくりっとまんまるな眼をした美しい魚たちが楽しそうに泳いでいる。体が透明なのか、と思うような淡い紫の魚や、濃い紫の鮮やかな魚など、たくさん見ることができた。初シュノーケリング、つまり初めて海の中をじっくりと見たような気がする。ちょっと遅いシュノーケリングデビューだったが、これはかなり楽しい。これからもいろんな海で潜ってみよう。
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12/17 チャールズタウン、ネイビス
クルーズも半分を過ぎ、小さい船だから顔見知りも増え、いろんな船客と自然に話すようになる。
「スモールシップはビレッジのようなものだ。」と誰かが言った。まさにそんなアットホームな雰囲気だ。
6:30 少し早起きしてデッキ6に行ってみる。シードリームⅡはネイビス島に向かってまっすぐに進んでゆく。程々のところでアンカーを降ろす。今日も新しい一日が始まる。船内新聞を読んでみるとここネイビスの通貨はカリビアンドルという。そんな通貨があることすら知らなかった。
8:00 今日はゆで卵(4分)、ベリーのパンケーキを注文。オレンジジュースは既成のものではなく絞りたて。飲みかけのコーヒーが冷めていると感じると、クロアチア人ウェイターのゴランが新しいカップに熱いコーヒーを入れてくれる。ささいなことだが、その積み重ねは大きなクルーズの満足度につながっているのだ。
10:00 船尾のマリーナから海へダイブ。程よい水温、しかし体力がなくて昔ほどは泳げない。少しだけシードリームⅡから離れて泳いでみるが、戻ろうとすると流れで押し戻されてなかなか船に近づかない。少し怖くなるが、いつも程よい距離で見守ってくれる監視のクルーが必ずいる。
海は美しくもあるが怖さもある。人間はこの自然の中で行かされている。自然にはタテを突かない方がいい。うまく共存し、自然の恵みに常に尊敬の念を忘れないことだ。
12:30 好きな前菜を取り、シャンペンとスタート。エグゼクティブシェフが、「メニューにはないけど、今日もムール貝があります。召し上がりますか?」と声をかけてくれる。これが本当に美味しい。
さぁ、午後は街の散策に出かけてみよう。
ネイビス島とセントキッツ島で一つの独立国家である。かつてはイギリス領であった。
まずはビーチへと向かって歩き出す。途中、緑の芝の上に立つカラフルな家、よく見ると土産物店だった。ちょっと覗いてみると不思議なものが並んでいた。統一性は全くない。ビーチサンダルのようなキーホルダー、イヤホンジャックのような穴があるのだが何かわからない。店の女性に尋ねると「さぁ、私もわからないわ。」とのこと。7USドルで購入。いろいろとこの女性と話をしていて、日本から来たというと、「それはどこにあるの?」と尋ねられ、「ここから遠いところです。」とだけ答えておいた。
ビーチに到着するも、誰もいない。かなり泳いだ。どこまでも続く砂浜。こんなに自由に泳げるなんて、日本、特に関東では考えられない。ビーチからの帰り道、学校帰りらしき女学生とすれ違ったのだが、「グッド・アフタヌーン」とご挨拶をされた。マナーがいいというか、ちょっと驚いた。
ディナーの前のブリーフィング、全船客76名(ちなみにクルーは95名)のうち、46名がリピーターということで、船客全員がリピーターズパーティへ招待を受け、キャプテンが謝辞を述べた。もっとも乗船回数の多いゲストは、600日を超えているという。この船の就航時のシーゴッデス以来乗船している。まさにグレートパッセンジャー、この船は彼のプライベートヨットと言えそうだ。
今宵のディナー、シードリーム・ヨットクラブ社マイアミオフィスのスタッフと共にした。若干25歳の若者もいる。いろいろ有意義な話をしたあと、さすが今どきの若者は情報収集力に長けているので、クルーズのメッカ、マイアミの裏情報も教えてくれる。例えば、最新の某大型クルーズ船は300個以上の防犯カメラを設置しているという。クルーエリアさえ例外なく、つまり、「誰も信用していない。」ということだ。そしてシードリーム・ヨットクラブという頂点のクルーズ会社のセールスの主戦場であるアメリカでの予約の入り方を尋ねたところ、乗船経験者の口コミだったり、乗船者が船上で友人の分まで申し込んだりなど、いたってアナログなのである。それはある意味健全なビジネスに思える。
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12/19 ヴァージンゴルダ
いよいよ明日は下船の日、シードリームⅡは英領ヴァージンゴルダ島のスパニッシュタウンという街に到着。ここでは、ザ・バスというオプショナルツアーに参加する。オープンエアののどかな車に乗り、海岸線に到着。ここには巨大な岩があり、波に磨かれ、不思議な形をしている。その中をツアーの一行は歩き進んでゆく。時には匍匐前進のようにしないと進めないような狭い場所もある。その先には美しいカリブ海のビーチがあり、このツアーはなかなか面白かった。 シードリームⅡは、島の北に位置するノースサウンドへ移動しており、我々はバスで追いかける。途中島のかなり高台から左右に海が見える左がカリブ海、右が大西洋。全然海の色が違う。バスを降り、用意された小船に乗り、到着したのはシードリーム・ヨットクラブ専用のプライベートビーチ。ここでシャンペン&キャビアスプラッシュという恒例のビーチパーティーが繰り広げられる。
シードリームⅡは、このビーチから至近距離に錨泊。ちょっと不謹慎だが、「座礁しないのか?」と心配になるほどの近さだ。シードリームⅡからの汽笛の合図でパーティーはスタート。高級シャンペンがポンポンと景気よく開けられ、海の上に浮かべたサーフボードの上にはキャビアの山。それを食べたい人は海の中へ取りに行く。ただしレディファーストで。 ビーチにはバーベキューやドリンクも用意されている。スペアリブと生ビール、最高のひと時。世界中から集まった人生を楽しむことの達人たち、みな本当にいい笑顔で語り合っている。「こんな世界があるんだなぁ。」、しみじみとそう思った。
このクルーズには、シードリーム・ヨットクラブ社のCEOボブ・レピスト氏もファミリーで乗船している。
ビーチに立てかけたシードリーム・ヨットクラブ社の旗、ボブが「MASAAKI、ここで船をバックに写真を撮ろうぜ。これを日本でのプロモーションに使えばいいじゃないか!!」。どう考えてもオヤジ二人の裸の写真は使えないだろう。
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12/20 サンファン(プエルトリコ)
朝、シードリームⅡは、サンファンの港へ接岸した。岸壁には真っ赤なポインセチアがいくつも並べられていた。今日からの1週間はクリスマスクルーズ、その装飾用に手配したもののようだ。
カリビアンパラダイスからたった3時間のフライトでニューヨークに到着。そこは気温2度の真冬。JFK空港からマンハッタンへ地下鉄を使ったが、人の表情は硬く、みな両手をポケットに突っこんで丸まっている。
49丁目の居酒屋に腰掛ける。日本酒と刺身で一杯やりながら、この1週間の船旅を振り返ってみる。まず何よりも心から全身で楽しかった。そして、「これは日本で絶対に伝えなければならない。」と思った。本誌もそうだが、クルーズ専門誌での特集も決定した。日本人が知っているカリブ海クルーズはマイアミから数千人が乗船するBIG
SHIP
で行くもの、寄港地はどこも俗化され、観光地化され。 シードリーム・ヨットクラブの南カリブ海クルーズは全然違う世界。そこを上手く伝えてゆきたい。 実はカリブ海はクルーズ料金がとても安い。ラグジュアリー船シードリーム・ヨットクラブですら。だからいい船に安く乗れるというお得感がある。地中海クルーズのような見どころ満載ではない。しかし南カリブ海には、心からリラックスできる場所がいくつも用意されている。そしてヨットをたしなむ人にはパラダイスと言えよう。
地球上にはまだまだ知らない素晴らしい場所がたくさんありそうだ。大人の好奇心は尽きない。
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